ニッチ?運用ディレクターという仕事

ここ数年「何のお仕事されてるのですか?」と聞かれると、答えに迷います。

アンケートや何かにプロフィールを登録する際、職業選択の項目で、これだというものを見つけた試しがありません。

私のお仕事は、WEBディレクターと、運用コンサルタントとを兼ねあわせた、「運用ディレクター」(私が勝手にそう呼んでいるだけ)なるものです。

ニッチ過ぎて説明が大変なので、いつも「WEBディレクター」と言うことにしています。

私たち運用ディレクターの仕事は多岐に渡ります。一言で言えば、「クライアントが運営するECサイトの運用サポート」です。サポートという表現を使うと、

「オンラインショップの運営でお困り事があればお手伝いします」

みたいなイメージになってしまいますが、(中にはそう言うスタンスの人もいますが)違います。

「困り事は私たちがお手伝いするので、一緒に売上を上げましょう」これが、私たち運用ディレクターの仕事と考えています。

●クライアントから依頼された商品登録

●サイト更新のためのマニュアル作成

●サイトトップにautoload機能の実装依頼

●来月のプロモーション計画作成

ノベルティ送付者のリスト抽出方法を考える

●数値レポート作成

●契約書の作成

●新規立ち上げサイトのワイヤー作成

●欠品発生の原因調査と在庫付け合わせ作業

●エンドユーザーのクレームに対する対処法を提案

Instagramトークン取得指南

ざっと上げた、私の今日1日のタスクを見ての通り、「これってWEBディレクターの仕事?」と思えるものがチラホラあります。

私たちの商売道具は、WEBデザイナーやエンジニアのような専門性の高い知識やスキルではなく「オンラインショップを安定運用し、売上を上げるための」ノウハウです。私たちは、1人で出来ることは少ないですが、WEBデザイナーやエンジニア、カスタマーサービス、倉庫、広告代理店、SEO業者、などなど、色々なところと連携して、クライアントのECサイトの課題に対する答え、もしくは選択肢を導き出します。

ですので、運営に関わる全ての各プロフェッショナルが何を知っていて、何ができるのか、を知っている必要があるのです。

少し具体的に話をすると、今日チームの新人ちゃんが、何やら困っていたので声を掛けてみました。

新人ちゃん「クライアントから期間限定セールの指示が来て、指示通り設定したのですが、これ見てください、どう思いますか?」

よく見ると、販売前の予約商品がセールになっていました。

わたし「どこが問題だと思うの?」

新人ちゃん「セールのアイコンが優先されてしまって、プレオーダーのアイコンが消えてしまったんです。カートボタンが「予約する」になってるから、分かるとは思うのですが。プレオーダーアイコンも表示できるように開発会社に頼んだ方が良いですかね?」

クライアントの指示に疑問を感じた点は◎。中には何の疑問も抱かず、言われたことをそのまま作業だけして、完ぺきと思う人もいるのです。そこで私は、

わたし「そうだね、確かに分かりづらいかも。でもその前に、予約商品ということは、まだ出荷されていない商品だよね。新人ちゃんは、自分の買った商品が、まだ手元に届いていないのに、セール価格になったらどう思う?」

新人ちゃん「ちょっと嫌です」

わたし「だよね。その商品を買ったお客様はがっかりして、だったらキャンセルしたい、セール価格に変更して欲しいって、きっと言うよね?お店に対するイメージも良くないよね?クライアントは、そういうことが起こることに気付いていないのかも知れない。だとしたら、それをお伝えするのが私たちの仕事だよ。そして、予約商品をセールの対象外にするか、注文を頂いてるお客様の価格をセール価格に合わせるかの提案ができないかな?」

ノウハウを売るというのは、目の前に石が落ちている、川が流れている、その水は飲めない、あっちに木陰があるなど、クライアントの先回りをして、情報を共有し、目的地にナビゲートすること。

 CSVファイルを使って、商品の価格をセール価格に変更するスキルだけでは、本質的な問題の解決にならないのです。

この場合は、カスタマーの知識と経験が必要で、自分がとるアクションによって、どう言う結果になるかを想像する、イマジネーションも多分に必要となるでしょう。

アイコンの件は、ユーザビリティが落ちると言う点では、改修するべきですが、そこはコストとのバランスを考える必要があります。

でも、せっかく新人ちゃんが気付いたことだから、コストの話はまたにして、判断は彼女に任せることにしました。