ニートの私が選んだWEB担当への道 その3

晴れてニートからフリーターになった私。

仕事の内容はいたって簡単で、現像に来たお客様のフィルムを預かり、ご希望の大きさにプリントするというもの。

フィルムは現像機に設置すれば、自動的に現像され、1本のネガとなって出てきます。

そのネガを今度はプリンターに設置し、ひとコマひとコマ、色調やプリント位置を調整しながら、ボタンを操作しプリントします。

プリントが終わったら検品台で、写真にゴミが写り込んでないか、色調は問題ないか、逆光で顔が暗く写ってる写真は露出を上げるのですが、それが漏れてないか、などをチェックします。

写真屋が写真を見ずにプリントすることは不可能ですので、写真屋のスタッフに中を見られてないと思われている方は要注意。今後は、あなたがどこで何を食べて来たかなどは全てお見通しされていると覚悟の上、プリントに出して下さい。もちろん全てはプリントの品質を保つための業務行為となります。

そんな単純作業のバイト生活。いい歳して、私はバイト仲間達とつるむことに一生懸命になり、今から思い返してもあんなに飽きるまで仲間たちと一緒にいた時期はありません。

まっちゃんは、フリーターでバンドマンを目指し、あっちゃんは、美大生で照明屋を目指し、エイジは将来店を持つって貯金をいっぱいしていて、もりちゃんはダンサー志望、ヨシオカさんはお寺の息子。

毎日バイト先で顔を合わし、夜はそのうちの誰かと朝まで飲んでいる。カラオケ、麻雀、旅行、ケンカ、恋愛、ドライブ、何だってみんな一緒にやった仲間でした。

でも、「私だけみんなと違う」ことに薄々気付いていました。みんなには人生の目標があって、私にはなかったのです。

「これじゃ、いかん」

ある日、あっちゃんの家に泊まったとき、何となく将来の話になりました。翻訳のことをポツポツと話すと、「かっこいいね!いいんじゃない?応援するよ。何もやらないより、ちょっとでも興味のあることやってみたら。で、最後までやって、駄目だったらその時また考えてば?私だって、最初から本気で照明やりたいと思ってたわけじゃないしさ」

その時、自分の中で殻のようなものがポロポロ砕けて落ちるような感覚になりました。大学生の頃は、私が翻訳家になるという話は、恥ずかしくて周囲の友人に話せませんでした。あっちゃんは、ニコニコしながら、応援するよと言ってくれた。それでいいじゃんって言ってくれた。何だか、魔法のようなその言葉で、私のやる気がムクムクと持ち上がるのが分かりました。

それから私は仲間たちとの時間を削り、バイトの時間も削り、翻訳スクールに今度こそ申し込みをして、ゴールが翻訳家になるか分かりませんが、自分の目標探しの旅を再びスタートさせたのでした。